第一線の授業を知る!グローバル教育で実践される英語教育とは? 2017/10/29

2017/10/31

平成29年10月29日(日)開催

教員人材センター キャリアビスタセミナー

第一線の授業を知る!グローバル教育で実践される英語教育とは?

 

全体写真

これからの時代の英語教育の在り方

啓明学園中学校高等学校

英語科主任 木幡 朝子 先生

 

本校は、1940年に創立されました。三井系の学校で、当時は港区にありました。

帰国子女を受け入れるために始まった学校で、今年で77周年を迎えます。

3年ほど前にスーパーグローバルハイスクールに認定されました。英語教育だけでなく、グローバル教育に力を入れています。

創立当時は、英語を教えることはあまり良くない時代でした。

ですが帰国子女は英語を身につけて帰ってきているので、当初から英語教育には力を入れています。今は、帰国子女や外国籍の生徒の割合は3割程度です。

本校では「自信を持って自己表現をできて、グローバル社会において成功できる」生徒を育てていきたいと考えて英語教育を行っています。そして、平和を作る人を育てる「ピースメーカープロジェクト」というものを掲げています。

実際にどのような英語教育を行っているかと言うと、まず英語のクラスは習熟度別です。

国際クラスというHonor(英語圏の生徒)とRegular(それ以外の生徒)のクラスと、日本で生まれ育った生徒の一般クラスとがあり、一般クラスから国際クラスに移る子もいます。できる子はどんどん伸ばしていく方針です。

カリキュラムについては、中学校は週6時間、英語の授業があります。一般生は週1時間、ネイティブとのTTの授業があります。

また、特徴的な授業としては以下のようなものがあります。

InteractionⅠⅡ:学校設定科目(学校独自の授業)で、スピーキングやリスニングに特化した授業を行っています。

Media StudiesⅠⅡ:映画を作ったり、英語の新聞を作ったりしています。

Global StudiesⅠⅡⅢ:世界のいろいろな問題について話し合い、研究し、論文を書いたりします。

「持続可能な開発目標」として17の目標が掲げられているのはご存知でしょうか。「貧困をなくす」「環境を守る」といったような内容です。それについてはGlobal Studiesで英語を使って学ぶこともあれば、日本語で学ぶこともあります。

テキストについては、中学校の国際クラスでは小説や欧米の出版社のライティングの教科書を使っています。担当はネイティブの先生です。一般クラスは検定教科書とNEW TREASUREを併用していますが、検定教科書の内容は2学期で終わります。3学期にはオックスフォードで出している読み物を使います。

高校でも国際クラスは欧米の教科書を使用しています。一般クラスはCROWNとNEW TREASUREの併用です。

InteractionではCNNのリスニングテストを導入していますが、テストだけでは力はつかないので、テスト回収後に必ずもう1回音源を聞かせています。その後、スクリプトを渡して再度音源を聞かせます。

本校の授業ではアウトプット活動を重視しています。

中学校の英会話の授業では、体験学習の後にボキャブラリーの発音の練習をし、ペアワークを行って、ペアで話し合ったことを発表してもらいます。

この授業の中に、4技能が全て含まれています。また、1対1の会話のテストも行っています。

こうした授業に対する生徒の反応ですが、だんだんと慣れていきます。

特にブレーンになる生徒がグループにいると、奮起する生徒も増えていきます。英語は、長い目で見て訓練していけば、徐々に話せるようになっていくものです。

これからの英語教育には、4技能全てを伸ばす授業が求められます。

プレゼンテーション、ディスカッション、ディベートはこれからの時代に必要です。

文法、訳読法だけではどうしても日本語を喋ってしまうので、少しずつ授業の中に英語を取り入れることは必要だと思います。

英語教員に必要なスキルについて、文科省では英検準1級以上、TOEIC730点以上、TOEFL80以上など色々な基準を打ち出しています。確かに高い点数を取るに越したことはありませんが、そういう人が必ずしも高い指導力を持っている訳ではありません。自己研鑽は常に必要です。

他の先生の授業を見学したり、外部のセミナーに参加したり、そういったことをたくさんすると良いと思います。

加えて、海外経験があると良いかと思います。外国人と実際にやり取りをしたことがあると、自分の授業に役立つことがあります。TTで授業を行うこともあるので、ネイティブの先生と「普通に」ではなく「上手に」コミュニケーションを取れる人であること。様々な価値観を受け入れられる、柔軟性、協調性、鈍感力といったものが必要になってくるかと思います。

※SDGs(Sustainable Development Goals)

①貧困をなくそう、②飢饉をゼロに、③すべての人に健康と福祉を、④質の高い教育をみんなに、⑤ジェンダー平等を実現しよう、⑥安全な水とトイレを世界中に、⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに、⑧働きがいも経済成長も、⑨産業と技術革新の基盤をつくろう、⑩人や国の不平等をなくそう、⑪住み続けられるまちづくりを、⑫つくる責任つかう責任、⑬気候変動に具体的な対策を、⑭海の豊かさを守ろう、⑮陸の豊かさを守ろう、⑯平和と公正をすべての人に、⑰パートナーシップで目標を達成しよう

啓明学園中学校高等学校 HP

知識と実践の融合―本当に使える英語を―

昌平中学・高等学校     

国際教育副部長・英語科副主任 戸恒 和香子 先生

本校は中高一貫校ですが、高校は30年程の歴史があるのに対し、中学校は今の中学1年生が8期生なので、まだスタートしたばかりです。その都度生徒の様子や状況によって臨機応変な授業作りをしています。

埼玉県の自然豊かな場所にあるので、生徒は勉強にもスポーツにも一生懸命で素直で素朴な生徒が多いです。

学力レベルに関して言うと、高校にはアスリートコースや特進コースなど様々なコースがあります。中学校の方針は「入った後に伸ばします」と宣言している学校です。

現在は、国際バカロレアのMYPコース認定校となっています。候補校期間2年を経て、昨年認定されました。教科の枠を超えて、グローバル教育に取り組んでいます。

グローバル社会においては、自己主張できることも重要ですが、異なる意見を受け入れることも 重要です。グローバル人材育成プログラムとして本校ではバカロレア、プロジェクト学習、スペシャル・ウェンズデイ(月に1回程度、午後に出かけたりします)、パワー・イングリッシュ・プロジェクトなどを行っています。

英語科だけではグローバル人材の育成は難しいです。教職員も1つのチームとして、学校全体で動いていくことが大切です。本校では、英語科以外の教員も生徒の英語学習に対してモチベーションを高めて行くように協力をしてくれます。

本校の授業の特徴は、知識と実践の融合です。「本当に使える英語」を身につけさせるようにを心掛けています。

小学校で英語の教室に通っていた生徒は非常に少なく、入学時はほぼ全員がビギナーです。また、日本人の特性かもしれませんが、きちんとした知識がないと不安になる生徒が多いです。

そのため「静」と「動」を意識し、知識をしっかりつける授業と、それを使う授業を行っています。生徒の顔を見ていると、自信が出てくると表情が変わっていくのが分かります。そのうちに、日本語を使わない授業でも笑いが起きたりするようになります。

「静」の要素としては、朝の読書後の単語テストや、満点合格のグラマー小テストなどがあります。この「満点合格」は問題数を少なくして、満点を目指せるようにしています。このように、生徒達が必死になって取り組めるような条件をつけてあげることは大切です。

授業は中学3年の1学期で高校の内容に入ります。高校3年の1年間はほぼ教科書を使わず、演習中心です。

先取り学習の利点は早く進むことだけではありません。早く進むということは、その分戻ることができるということです。

中学3年生はちょうど高校の内容に入ったところですが、卒業までまだ半年あるので、たまに中学の内容に戻って授業をしたりしています。

宿題は多い方で、平日だけでなく祝日の課題もありますが、生徒は時間を上手に使って宿題をやるようになります。

また、ライティングは常に行っています。中学1、2年の間は身近なことをダイアリーとして書いてもらい、中学3年になると消費税増税についてなど、様々な問題に関して英語で書き、その後ディスカッションをしてもらいます。中学生は間違った文法で話す生徒も多いですが、あまり直しません。自信を持って英語を使わせることを重視しています。

「静」の授業は厳しく行いますが、「動」の授業については自分自身が「動」になる必要があります。

1年生の内は話せることがあまり多くないので、日本語でディスカッションをさせることもあります。まずはコミュニケーションをしっかり取れる、自分の考えを伝える素地を作るのです。

そうして3年生になると色々なことができるようになります。日本の生徒は日本のことをあまり知りません。そのため、日本のことをきちんと説明できるように、旅行会社のツアーを自分達で作ったり、英語のPR動画を作ったりもします。そういった時に、「静」の授業で学んだことが自信に繋がります。

言語は日常です。普段から生徒達に英語を使わせる環境を作ってもらえると、だいぶ違うと思います。

塾などに通っている生徒がいる学校もあるかもしれませんが、そこは学校の責任です。「塾は必要ない」と言えるまで、きちんと学校で教育する必要があるのではないかと思います。

教員の仕事は、人間対人間の仕事なので、嫌なこともあると思います。

けれど、生徒達からもらう喜びはそれを上回ります。私達が大変な思いをしている分、生徒達も成長しようと頑張ってくれているのです。

当然、英語が苦手な生徒もいます。それでも「英語は嫌いだけど英語の授業は好き」と言ってもらうことが第一歩だと思います。そしてそれは、先生方のアイディアにかかってくると思います。自分の学びは全て生徒に繋がっています。今の自分の授業スタイルを変える勇気はこれから必要になってきます。ぜひ色々なことを試し、色々な授業を見てほしいと思います。

昌平中学校・高等学校 HP

帰国子女として考えるグローバル教育の今

八雲学園中学校・高等学校  

英語教育・国際教育アドバイザー 榑松 史人 先生

私は昭和21年生まれで、今年10月に71歳になりました。

1962年に、父親の仕事の都合でアメリカに行っています。お若い方には分かりづらいかもしれませんが、1964年に東京オリンピックがあり、初めて日本からアメリカへの衛星生中継が行われました。私は当時、「東洋の魔女」と呼ばれた日本チームが金メダルを取った時の中継を、アメリカの自宅で見ていました。

高校3年生の1月に帰国しましたが、私には日本の高校の卒業資格がなく、アメリカの高校も卒業しておらず、まずは学校探しからスタートしました。

最初に入った学校が玉川学園というところで、そこが最初の職場になるのですが、縁あって18歳から65歳まで私は玉川で過ごすことになります。

このような経験から私は「帰国子女」という立場になりました。「帰国子女」と聞くと、「この人は英語に関して全てを知っているのではないか」「英語は絶対に間違えないのではないか」と思う方が多いのではないでしょうか。実際私もそのようなプレッシャーがありました。ですが最近は、この帰国子女という立場を自分の売りにしようと考えを変えました。

今、グローバルという言葉は一人歩きしています。

玉川大学も「国際」という言葉で学生を集めていたことがありますが、私達は私立学校なので、時代に相応しい言葉と共に、ある意味「競争」をしている訳です。

私はこれまで、自身が通ったニューヨークとイリノイ州の学校を含め、25ヶ国60校の学校を回りました。そのどの学校も共通して、「良い人間を育てたい」と言います。それは公立も私立も同じだと思います。

では「良い人間を育てる」とはどういうことかと言うと、脳を活性化させ、頭の良い人材を育てる。人間は誰でも、学んで進歩していく力を持っています。それは八雲学園でも言っていますし、啓明学園さんも昌平さんも言っていることです。ダメな人間はいない、だから私達の学校で生徒をこのように伸ばします、という話をするのです。

では、そのために何が大事なのでしょうか。

恐らく受験の時には、複数校回って、その中から学校選びをしていくことになると思います。

確かに学校説明会に行ったり、パンフレットを読んだりすることで、学校を選ぶことはできます。ですが残念ながら、先生を選ぶことはできません。パンフレットの中から、先生1人1人の特徴などは読み取れません。

私は現在71歳ですが、部活の顧問も持っています。授業は、週1回の特別授業のみ担当していますが、その他は、事情があって先生がお休みする際の代講などをすることがあります。

いずれにしても現役でいる訳ですが、「学校は選べるが先生は選べない」という意識は常に持ち続けています。逆に言えば、「私は目の前にいる生徒達に選ばれた先生である」と思わなければいけないと思っています。

では、どのような先生が選ばれるのでしょうか。教育実習とは全く違います。今もシステムがそれほど変わっていなければ、教育実習は2~4週間の間で行うものだと思います。ですが、実際の仕事となると少なくとも4月に出会った生徒とは基本的に100回以上の授業でお付き合いすることになります。例え相手がどんなに先生から見てやる気がないと思われている生徒であっても、「この先生は良い先生だな」とか「ちゃんと授業をやる先生だな」というように先生を判断されると思います。

そう考えると、とても大変な仕事です。ですが、この年齢になっても、毎日が新しいです。「学びあっても教えなし」です。

「こんなことは分かっているだろう」というのは、教える側の勝手な考えに過ぎません。

最初の話に戻りますが、全ての学校が「良い人材を育てたい」と思っています。その延長線上に語学があったり、国際交流があったりします。

しかし、学生の国際交流と社会人になってからのそれは全く違います。学校にいる間は友好に交流できます。それは「生徒」だからです。社会に出たら、世界と戦わなければいけないということを踏まえた体験をさせていかないと、グローバル教育が学校の中だけで終わってしまうと私は思います。

これまで色々な経験を子ども達に与えてきましたが、その中で世界に飛び出していった若者は残念ながら皆無に等しいです。

大学卒業後に本物のグローバル社会に飛び出していく子達を、どうやって育てたら良いのか、皆さんと知恵を絞り合いながら考えていきたいと思います。

八雲学園中学校高等学校 HP