民間企業経験は学校現場でこう活きる! 2016/11/13

2016/01/05

平成28年11月13日(日)開催

教員人材センター キャリアビスタセミナー

民間企業経験は学校現場でこう活きる!

 

161113セミナー全体写真(縮小)

講師・学校紹介

城西大学附属城西中学・高等学校

加藤 晃孝 先生 (以下 城西大城西 加藤先生)

大学院卒業後、株式会社野村総合研究所にて証券アナリストとして勤務していました。

主にオーストラリアやカナダの為替、株式を分析してレポートにまとめたりする仕事です。

英語での質問対応も行いましたが、私は英語力に自信がなかったため、書類をFAXで送ってもらい、それを自分で日本語に訳し、作成した文章を英語に翻訳し直すという、手間のかかる方法をしたこともありました。このような仕事を3年間行っていました。

加藤先生

退職は1991年の3月で、丁度日経平均が最高だった時期です。

その後、私の父が理事長校長をしていた学校法人仙台育英学園に転職いたしました。約13年間の勤務後、城西の校長先生に声をかけられ非常勤講師として入りました。その時は情報の授業補佐という立場で、WordやExcel、PowerPoint等、操作方法の分からない生徒に付きっきりで教えていました。2006年に翌年に専任になり、2009年には教頭職に就きました。

私は言われた仕事は基本的に受け入れる性格です。校長職に関しては、やらなければならない状態であったことから、自ら手を挙げ、現在に至ります。

仙台育英学園を辞めた後はしばらく時間がありました。家内の実家の会社の手伝いなどをしていましたが、会社を整理しなければならない状況になり、非常勤講師としての間にやりくりをしながらの状態でした。

民間企業にいる中での経験というものは、教員になる上で大変役に立っていると思います。

― 貴校のご紹介をお願いします。

豊島区の池袋駅から徒歩20分、要町駅から徒歩5分の場所にあります。1918年に創立し、間もなく100周年を迎えます。元は、海援隊の中島信行の子である中島久万吉により、現在の日本通運の幹部候補生を育成するために創られた学校です。その後、野口援太郎が「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」という校訓を掲げ大正自由教育の実践校として、体験型学習の場になった。50年前には、城西学園が財政的に困難な時期であったときに、新藤富五郎先生が「報恩感謝」という理念を掲げ、学校の立て直しに成功をしました。本校の生徒は優しく、教師と生徒の関係も良く、雰囲気の良い学校であるという評価を得ていて、進学指導にも力を入れ始めている学校です。

また、1982年から米国オレゴン州の学校と国際交流を行っています。海外に留学に行った生徒が、単位を認められるようになる仕組みを作った最初の学校の一つだと思います。

城西大学附属 城西中学・高等学校 HP

郁文館中学・高等学校

古宇田 哲史 先生 (以下 郁文館 古宇田先生)

教員の採用と育成、教育課程に関する仕事を担っています。

学歴も、それほど高くありません。普通の教員志望者でした。一般企業での勤務経験もありません。

一般企業出身者の方は社会のルールをしっかり理解しているので、そういった方が入ることで学校がどんどん良くなっていると感じています。

古宇田先生

新人研修で、学校では22歳で40人の部下がいるようなものだと教わりました。新卒の先生方は誤解しやすい所でもあるのですが、ベテランの先生方に「生徒が座っているからと言って教員も座っていたり、油断して服装が乱れていったり、そういったことが起こりやすくなる。それらに対して部下は何も言えないのだよ。」と教わりました。

現状、新人研修がきちんと行われていない学校は多いです。正直、22歳で副担任をやっていた自分はとても辛かったです。出来ることが当たり前で、誰にも相談できません。部活をやっていたら尚更です。ふと気付くと携帯に保護者からの怒りの着信が入っていたこともありました。

そのようなことがあって、自分にもできることを探そうと、26歳くらいの頃に、「新人研修の部署を作ってください」と依頼をし、実際にやってみました。皆さんと話し合いながら、現在まで続けています。みんなが1年目の時にやって欲しかったような内容が出来るように、そんな優しい学校になれれば良いなと思いながらやっています。

私は、学校は閉鎖的だと思っています。皆さん他校を知ろうとしませんし、足を運ぶ方も少ないのが現状です。

私たちが行う新人研修では、まず一学期は模擬授業でしっかりと実力をつける、二学期は学内の企画作りに取り組む、そして三学期では産学連携というテーマを持たせています。

例えば、生徒数がものすごく増えている学校を探して、比較をするなどです。新人に、外へ目を向けさせるための取り組みを行っています。

― 貴校のご紹介をお願いします。

本校は、企業創業者で、現参議院議員の渡邉 美樹が理事長を務めています。

本当にやる気があって、前向きな失敗はどんどんしてもいいよ、という学校です。また、新しいことは年齢に関係なくできます。

そうした理事長のマインドが入っているので、しっかり外を見よう、という雰囲気になっているのだと思います。

シンガポールの日本人学校に研修に行ったことがあるのですが、日本人学校に通っている中学生の生徒は毎朝、外に出て英語と中国語の新聞を読んでいました。帰って来て自校の生徒たちを見てみると、新聞どころか活字も読めなかったりします。これで、10年後戦っていくとなると勝てる気がしないな、と思いつつ、でも、生徒が好きだから何とかしてあげたいという気持ちがあります。そのために、うちの学校では今新しいことを色々とやっています。

例えば社会を知るための新聞教育、というものを行っています。また産学連携。大学や地方自治体との連携ですね。屋久島から90分くらい行ったところにある、口永良部島に研修に行ったりもしています。

従来の5教科もやりながら、新しいこともやっているという、ちょっと変わった学校です。

そういう部分で関心が高まってきて、生徒数は現在1235人となっています。

郁文館夢学園 HP

=パネルトーク開始=

― 貴校の求める教員像を教えてください?

郁文館 古宇田先生

端的に言うと、8割の授業担当者と、2割の異端者です。

今年(2017年度)は15人程採用しようと思っているのですが、その内の8割には授業力があって、ホームルームの運営などがしっかり出来る方を求めます。残り2割は、特殊能力を持っている先生を求めます。

特殊能力がどういうものかと言うと、例えば、学校の先生が苦手なものが出来る、ということです。例えば電話対応などですね。学校の先生の中には、相手が立っているのに自分は椅子に座ってしまうような、感覚的に歪んでいる方もいるのです。

また、新しい企画を出せる人材、会社を起業したことがある人材、キャリア教育ができる人材なども求めています。本校では、どんな立場の人間でも週に一回プレゼンができます。どんどん企画を提案できる学校です。

私は以前、生徒にやる気を出させるために、公募ガイドを見て片っ端から電話をかけたことがあります。生徒たちがそれらに応募し結果を残すことで表彰され、達成感を得ることができるのです。私は学校の先生しか経験していないのでそういった引き出しが少ないですが、企業経験者の方は様々な世界に触れていると思います。ですから2割の異端者は、絶対に重宝されます。

城西大城西 加藤先生

学校の先生は基本的に真面目です。

採用面接の場では、10秒くらいで本校に合う、合わないが分かります。入った時から緊張しっぱなしで、全く余裕がない方もいらっしゃいます。人前で話をしなければならない人が実際の教室で大勢の生徒や保護者の前で説明することが必要な教師を想像すると、心配になります。明るく元気でハキハキとした、やる気に満ちている方にぜひ来て頂きたいです。

そして、どんな生徒にも対応できるよう努力する方が望ましいです。学校の先生の良くないところは、自分のスペックを自分で決めてしまうことです。自分はこういう生徒には対応できないだとか、決めつけてしまう先生も見られます。

皆さんにお願いしたいことは、例えば教室でお友達の関係づくりが難しい子がいた時のことを想像して、どのようなケアをするとうまくいくのかというようなことを、経験はなくとも本を読んだり、講演会に行ったりなどして、学び、自分から提案ができる方が良いです。基本的に、なんでもやろうとする気持ちを持っている先生を求めています。資質や自分の持っているものをどう活かして、自分の守備範囲を広くしていく気持ちがあるかが重要です。

本校では、成績で生徒を区別しません。一つのクラスに、様々に学力差のある生徒がいます。その差をどのようにすれば埋まるのかを考えてもらう先生に来てほしいです。

また、大切なのはリベラルな発想です。生徒を一人の人間として扱えるかどうか。上から見るのではなく一緒に進んでいけるかどうか。そういった発想の方にぜひ来て頂きたいと思います。

さらに、私のこだわりなのですが、「自責と他責」という言葉があります。何でも自分の責任に置き換えてほしいです。また、世のため人のために仕事をしているという公共心を、生徒に伝えたいと思っています。学校の中で、自分中心主義にはなって欲しくありません。生徒のため、学校のためと言えるような人に来て欲しいです。

自分からどんどん仕事を見つけてください。多くの学校には、アイデアキラーがいます。そのため事前の相談や説得が必要で、それを実現させるためにはどうすれば良いかということを考えなければなりません。

模擬試験一つを導入するにあたっても、反対されたことがありました。周囲への相談は行いましたが、最後は押し切ることも必要になります。

職場の人間関係は大切にしてください。職場の規律を守ることです。報告・連絡・相談は企業では当たり前のことですが、実践できていない先生がいます。

テストの点が赤点かどうかもよくある例です。赤点かどうか判断する方に意識が向いてしまうことがあります。ですが、赤点をとらせるのは先生の責任です。赤点だからどうこうという話をするのではなく、赤点を取らせないためにどうしたら良いかを考えてほしいと思います。

また、人生を語れる人にぜひ来て頂きたいです。教師の仕事とは何ですか、とよく聞きますが、「分かるまで教える」と言うより「できるようにする」というのが本来の仕事です。そのためにはどうすれば良いかということを、具体的に言えるようにしたら良いと思います。

― 実際貴校で働いている企業出身者の事例を教えてください。

郁文館 古宇田先生

本校の教頭が一般企業の経験者です。29~31歳くらいの時に本校に来たかと思います。

一年間講師を経験し、担任を経て、現在は教頭となりました。教頭になれたのは、行動力の高さ、情報収集能力の高さ、他校の動きへの感度の高さによるところが大きいと思います。大学フェアなどに足繁く通い、慶應の教授とのコネクションを作り、それが研修制度の整備に繋がりました。また、屋久島の研修や産学連携企画を打ち出したのもこの人です。

もう一人は若手で、25歳くらいです。会社を作った者で、人を育てることからやってみたいと、本校に来てくれました。この者は被災地復興ツアー、ボランティアツアーを企画しました。実際に目で見せることを大切にしています。

二人には共通点があって、それは信念を持っていることです。一般企業を経験している人は、年下から物事を教わることができます。上に立つ人というのは、立場が違う相手からでも教わることができる人です。二人は特に、人間関係の形成が上手でした。

城西大城西 加藤先生

三人ご紹介します。

一人目は、放送局でアナウンサーをやっていた人がいます。アナウンスについて非常に力のある先生で、生徒に対する指導において、自分の持っているものを活かして仕事をしています。部活動でも力を発揮してくれています。この人は英語の先生で、研修会に参加するなどして常に新しいものを取り入れようとしています。

もう一人は薬剤師である理科の先生です。薬学に関する指導は完璧です。また、薬剤師がどのような仕事をするのか、仕事をする上での倫理観なども教えることができます。非常に指導熱心な先生で、卒業生も、薬学部に入っていながらその先生の授業を聴きに来たりします。

もう一人も理科の先生なのですが、設備投資会社で勤務していた人で、ホワイトカラーとして現場の管理監督をしていました。

現在は本校で広報のトップを担っており、WEB出願を取り入れるなどの入試関係、広報関係で高い能力を発揮してくれています。目標に達するまで責任を持って動いてくれる人で、私もよくその先生にちゃんとやれと怒られます。

企業経験がある方にとっても、実は学校には仕事がたくさんあります。総務、人事、広報など、どの分野で自分ができるかということを明確にすれば、学校でも活かしていけます。

― 全く学校で経験がなかった方が、いきなり教育現場で勤務することは実際可能なのでしょうか。

城西大城西 加藤先生

一人の人間が生徒と対峙する、人対人の仕事です。生徒に何かを伝えたいという気持ちがあれば充分だと思います。

自分は社会人だから学校のことは知らないと言ったとしても、それは単なる知識の差であって、気にすることではありません。

私学には人事交流がなく、転勤がないため毎日同じ顔が一緒にいることになります。そのため、周囲の先生は、新しい方が入ってくるとどうしても異なった文化の人が来たような気がします。特に、社会人経験の長い方は組織になじむことが難しいことがあります。うまくコミュニケーションを取りながら、努力している姿を見せるなど、横の繋がりを大切にしていることを周囲の先生に持ってもらえれば何ら問題ないと思います。

郁文館 古宇田先生

可能です。内定者の方には、勤務開始までの時間の使い方について話をしていますが、例えば週に一回でも塾で経験を積んでおくのもいいですね。こちらは自身のコンプレックスの解消にも繋がります。また、現職の教員同士で模擬授業を行っているコミュニティもあります。そちらに参加するというのも良いと思います。

一般企業出身の方について少し思うのが、自分の仕事や企画の優先順位が高くなりがちで、生徒から距離を置かれてしまうことがあります。例えば、ホームルームや授業のフォローアップが雑になってしまうなどです。優先順位の一番は常に生徒です。学校の先生は、親よりも生徒と一緒にいる時間が長いですから。

これから学校の中に皆さんのような技術を持った、違う世界を知っている方が入ってくることで、学校は活性化しなければならない時代に突入しています

皆さんにはぜひ、そのための一助になってもらいたいと思います。