グローバル・ティーチャーが語る授業のあり方 2016/9/11PM

2016/10/05

平成28年9月11日(日)開催

教員人材センター キャリアビスタセミナー

グローバル・ティーチャーが語る授業のあり方

 

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工学院大学附属中学校・高等学校 教頭

グローバル・ティーチャー賞トップ10

高橋 一也 先生

 

高橋先生

グローバルティーチャー賞とは

グローバル・ティーチャー賞は、ハーバード大学の先生が主に運営をしており、先生以外にも、孤児院を作った人や、難民キャンプをやっている人など、教育関係者を表彰する制度です。

基本は推薦での応募になります。トップ50は書類で選ばれ、そこから面接でトップ10に絞られます。最後に教育関係者の前でプレゼンを行なって、トップが選出されます

アクティブラーニングはあくまで総称

アクティブラーニングという言葉をWikipediaで調べると、「学習者が能動的に学習に取り組む教育の総称」とあります。アクティブラーニングは総称なので、具体的な方法ではありません。アクティブラーニング型、という言葉も聞かれますが、アクティブラーニング型、とは何でしょうか。

インストラクショナル・デザインという、どうすれば授業を効率よくできるかということを考えていく中からアクティブラーニングは出てきました。そこからさらにPBLなどの具体的な方法があります。あくまでもアクティブラーニングとは様々な教育方法を行う場なので、言葉を気にする必要はありません。

重要なのは、教育に対する考え方の方です。

生徒は、毎日学校に行きます。先生は、「お前ら勉強しろ」なんて言いますけど、そのままだと生徒は「何で俺たちは勉強しているんだろう?」という疑問が浮かびますよね。すると授業で寝てしまうことになります。

アクティブラーニングの要素

アクティブラーニングには様々な要素があります。グループ学習、プレゼンテーション、能動的学習、ICT活用、ファシリテーター。それぞれに理論があります。

例えばグループ学習の場合は、ヴィゴツキーの最近接発達領域という一人よりもみんなでやった方ができることが広がるという考えに基づいています。また言葉とか物は思考のツールに過ぎないということも言っています。僕は授業でレゴを使うことがありますが、この考えに基づいています。言葉はあくまでも道具に過ぎないのでレゴに置き換えることもできるからです。

プレゼンテーションはシーモア・パパートの構築主義です。ものを作って、共有することが重要で、そこから学びが起こります。

能動的学習については、ピアジェの人間は教えられるものよりも、自分で学習するものという考え方があります。人間には自分で取り入れて、自分ができることを組み立てることがあると言っています。

ファシリテーターにはモデル学習やMKO理論、自己効力感など、できる人を見て勉強する、自分はできると自信を持って勉強する、という考えがあります。

ICTに理論はありません。ICTを導入したからと言って、即アクティブラーニングというのは間違いです。

子どものモチベーションに必要な3つの視点

どうやって子どものモチベーションを高めるかは、多重知能理論、学習ピラミッド、メタ認知の3つが重要だと考えられています。

多重知能理論は、ハワード・ガードナーが考えた理論です。人間の脳の中には様々な能力がある、ということです。人間の能力は、人によって全く違います。けれども学校では、言語的知能のみをみます。先生の言うことをちゃんと聞いて、テストで良い点を取る子だけが評価されます。これが、学校教育の非常に良くないところです。言語的知能以外を使う授業ができるといいです。例えばビジュアルで表現する、プレゼンテーションをする、グループで活動するなどが重要になります。レゴは空間把握能力を使うものです。

ラーニングピラミッドでは、互いに教え合うことが一番記憶の保持率が高いとされます。基本的にレクチャーは効率が悪いので、あまりやらない方が良いです。

メタ認知は学習観の組み立てと関係しています。例えば高校生が失敗した時に、何のせいにするか。勉強量が足りなかったという子もいますし、勉強に集中できる環境になかったと環境のせいにする子もいます。勉強のやり方が良くなかったと、方法論のせいにする子もいます。この3名の内どの理由づけ生徒が一番成績がいいかというと、最後の方法論に目を向けた生徒です。この生徒はメタ認知能力を使っていると言えます。「こうすればよかった」と自分の行動などを改めて考えられるんです。根性論でただ「もっとやる」という生徒はメタ認知能力が低いと言えます。失敗した時にどういった意味付けを行うかが重要になります。

MI図

ラーニングピラミッド

生徒の心に火をつける先生に!

21世紀型スキルと言われていますが、テストでは測れない非認知能力が重要になってきます。好奇心やイニシアチブ、やりぬく力を持つ子を育てなければならない。そのためのOECDでは17の教育目標を作って、世界の学校は動き出しています。

今後仕事で必要になってくる能力は変わってきます。クリエイティブな能力が必要です。では、クリエイティブな授業ができますか?21世紀の日本で、そういう授業ができそうですか?ちょっと不安ですよね。

職員室が汚い学校では、アクティブラーニングは無理です。教員同士のコミュニケーションが取れていないからです。そこが取れていなければ、生徒同士もコミュニケーションを取ることはできません。アクティブラーニングは学校全体で起こらなければならないものです。教室の中だけで起こるものではありません。教科の先生が授業するのではなく、色んな教科の先生が協力しなければ、面白い授業にはなりません。

学校の先生にとって一番重要なのはコミュニケーション能力です。

これが低い人は学校の先生に向いていません。子どもと対話できない人は向いていないんです。それができて、子どもに必要なものが何か分かります。また、教員同士でもコミュニケーションが取れない人は難しいです。

 

The mediocre teacher tells.
The good teacher explains.
The superior teacher demonstrates.
The great teacher inspires.

 

普通の先生は喋るだけ。

良い先生は説明する。

優れた先生はやってみせる。

偉大な先生は、生徒に火をつける。

と言います。

 

色んなことを勉強してください。どうやったら生徒に火をつけられるかを考えてください。

自分が勉強するのがいやだったら、生徒に勉強しろと言ってはいけません。自分がやらないことを生徒に言ってはだめです。子どもに対して、常に先生は手本でなければなりません。一番重要なのは、子どものやる気や心に火をつけることです。

日本の教育は、肌感覚ですが、10周くらい世界から遅れています。文科省に頼っていたらだめです。皆さんは私立だから、自由な授業ができます。一緒に頑張って、日本の教育を良くしていきましょう。