VOL.86「郵便ポストが赤いのも・・・」

2011/05/25

教師のスキャンダルはマスコミがよく取り上げる。「聖職にある身でありながら・・・」といった思いがあるからだろう。そんな影響もあってか、必ずしも教師の印象は良いとは言い難い。

ただ、私は45年間も教師をやってきたが周辺に不真面目な人は少なかったし、基本的に教員は誠実で真面目な人が多いように思っている。

誠実で真面目であるのは良いことだがそれも程度問題である。

授業にしても学級経営にしても徹底して準備も時間も手間もかけ、自己評価も厳しく挙句の果てに鬱状態に陥ってしまう教師がいる。

精神医のお世話になる教師の数は年ごとに増加の一途を辿っていると聴いたことがある。最近では堂々と通院していることを告知する人が多いらしいが、そんなことを公言する勇気があるのなら鬱にもならないだろうと思っていた。

日頃から同僚にも生徒にも明るく接していて、全く問題を感じない先生が意外にも通院し始めたりする。事情を聴いてみると仲間の先生が生徒達から非難を浴びていると耳にしただけで心が痛み、何事も他人事として見過ごせないといった心優しい人が多かった。

学校でも塾でも、自分を責めて辞めていった先生を少なからず見てきた。

先生も生徒も個々の生活があり事情もある。たまたま出がけに母親に怒られてムシャクシャした思いを胸に抱えたまま授業に臨み教師に捌け口を求める者や、悪仲間の手前、虚勢を張って反抗的な態度で教師に向かってくる者等々さまざまである。

能天気に何があっても全て他人や偶然の仕業にするのは論外だが、「郵便ポストが赤いのもみんな私が悪いのよ・・・」といった自分に関わりのない些事に至るまで自分で背負いこんでしまっては教師を続けることはできない。

渡辺淳一が著した「鈍感力」には、敏感過ぎることの功罪と適度な鈍感さを身につけることが説かれている。教員生活にも大いに参考になると思う。

2011/5/25 彦井 脩

ご意見・ご感想は彦井 hikoi@careervista.jp まで。