VOL.85「席替え」

2011/05/18

中学、高校時代にクラスの席替えで隣に密かに想いを寄せる子が来ないかと胸がトキメイタ経験を持っている方は少なくないと思う。
中高の時代にたまたま隣に座った者同士が生涯の友となることもさして珍しいことではない。

かつて社内結婚の相手が半径5メートル以内の場合が多かったので「5メートル婚」という呼称が生まれた。
人が親しい関係になるのは意外に狭い範囲内であることが分かる。
クラスの席替えが生徒個々の人生を左右することだって大いにある。

どの学校も年度初めは出席簿の番号通りに座らせることが多い。

この時期何かと出席簿順に生徒へ渡す配布物や回収する提出物が多いからである。

席替えのやり方まで統一しているなどと聴いたことがないから、どの学校も担任の裁量に任されているのだろう。

生徒にとやかく言われるのがイヤでくじ引きにする教師もいるが、一般的には視力の劣る者は前、背の高い者は後ろに座らせている。
難聴の子や障害を持った生徒も前にすることが多い。

教師の目の届く所の方が安全だからだ。

私はくじ引きなどとんでもないと思っていた。
授業態度や交友関係など日頃から細大もらさずチェックし熟慮して全員の席を決めていた。

教壇に立つとよくわかるがクラスによって授業のやりやすさが全く違う。
教師がもっとも目に入る辺りに感じの良い子を配しているクラスの授業はスムースに運ぶ。
イジメも授業中に芽生えることが多々ある。
全てを生徒の座席が原因だとは言わないがクラスの印象を決める要素の一つであることは確かだ。
「センセー、今日のネクタイオシャレですねー」など声をかける授業つぶしの上手い生徒を真ん中に座らせたり、イジメに遭うような弱い子の後ろにイジメッ子を座らせたらどういう結果が待っているか誰だって想像がつく。

担任は席替えくらい自由にやっても生徒に文句一つ言わせない教師力を持っていなければならない。
この教師力とは授業や学級経営を含めた生徒との対応能力である。

2011/5/18 彦井 脩

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