VOL.83「カンニング」

2011/04/27

先日ネットによるカンニングが発覚して話題になった。ケータイを片手でしかもブラインドタッチで操作したと聴いて驚いた。
パソコンもケータイもやっと使っている私からすれば正に神業、やったことは悪いがその技術は賞賛に値する。特殊な能力が身につくと良い事だけに使わないところに人間の弱さがあるのかもかもしれない。

教師は必ずと言っていいほどカンニングをした生徒の指導に立ち合うことになる。その手口は単純明快なものから複雑怪奇なものまで多種多様である。

教科別教員室の天窓から侵入し、担当教師の机の上から答案を盗み出したネズミ小僧のような者もいた。盗み出したものの自分で答えが出せず友だちに解かせて試験に臨んだがその答えが違っていた。特異な誤答が多く担当教師は不思議に思い何人か呼び出したらアッサリ自白した。共犯者多数工作で仲間を増やしたのが命とりになった。

「ハイ、始め」の声で、生徒たちは裏返してある問題用紙を一斉に表に返し急いで問題に取り組む。そんな中でヒョイと顔を上げる生徒がいる。最初に顔を上げた者がカンニングをするのは定説で慣れた教師はその生徒の視界から外れた後方に立って監視をして未然に防いだりする。

ただカンニング慣れしている者は顔などまず上げない。一心に問題に取り組んでいる姿勢を崩さず両腕の中に顔を突っ込んで悪事を働くからなかなか見つからない。

よくいるのは返却した答案を改ざんして採点ミスを申告する者だ。記憶力の優れた教師も多く怪しいと睨んだ生徒の答案をコピーしておき発覚することもある。

対策は種々挙げられるが、まずはリスクが大きい割に益することが少ないことを生徒によくよく分からせることだ。また見つけることより未然に防ぐことが大切である。カンニングしにくい記述問題を多くすることもその一つだ。

カンニングは他の生徒がルールを守っていることで成り立つ。
不正を犯す自分の対極に真面目な生徒が存在することを自覚する時がいずれは訪れる。やがては「自己否定」に陥ることにもなりかねない。不正な行為にはそうした恐ろしい代価が待っていることを教師は日頃から生徒に話しておきたいものである。

2011/4/27 彦井 脩

ご意見・ご感想は彦井 hikoi@careervista.jp まで。