VOL.78「卒業証書授与式」

2011/03/23

先日、定年後継続でシニア教員をしていた学校の卒業式に招かれて行ってきた。教員生活の最後に中1~中3まで教えていた生徒達が晴れて高校を卒業するということで嬉しいことに声をかけてくれたのである。

開式通告の後、1組から順次担任教師が立って卒業生の呼名をして校長先生から証書を受け取る。みんなすっかり大人の顔になって凛々しく登壇する姿は頼もしい限りであった。進路先の大学が決まっている生徒はいっそう晴れやかだった。

続いて優等賞や皆勤賞など各種賞状が授与され、校長告辞、来賓祝辞と正に型通りに進む。奇を衒(てら)うこともなく、いわゆるベタな卒業式で安心して身を置いていられた。

今は趣向を凝らしたユニークな式を挙行する学校も増えているが、やはり伝統的な型通りの卒業式は守ってもらいたいものである。

最近の子供たちは厳粛な式に臨むことが少なくなり、正しい礼についてもきちんと指導を受ける機会がなくなってしまった。

どの学校にも独自の伝統的なやり方、正に有職故実とも言えることに通じている長老がいるもので卒業式予行などには活躍する。そんな先生が生徒の立ち居振る舞いを細かく指導し、何度か繰り返すうちに生徒達の所作が見違えるほど美しくなる。

先日イタリアに移籍したサッカーの長友選手が初ゴールを上げインテル・ミラノの仲間たちに礼をする姿がTVなどで放映されているのを見たが良い姿勢であった。

卒業生たちが次々に立ち登壇し一礼して左足から前に出て、左から右と手をあげて証書を校長先生から受けて一礼して右足から下がり降壇する。この一連の動きが気持ちの良いくらいに美しく流麗な生徒もいる。

一般には右が上手(かみて)(神手)で尊貴のほうであり、下手の左方から進み、上手から退くのが基本の動きのようである。私は弓道を始めた時、最初に習ったのがこの「左進右退」であった。礼も揖(ゆう)(浅い礼)と拝(深い礼)があることも習った。

卒業式は生徒たちに日本の美しい礼法の一端を学ばせる格好の場にもなる。

2011/3/23 彦井 脩

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