VOL.69「ケンカ」

2011/01/19

今朝、通勤途上半蔵門線の車内放送で「お客様同士のトラブルに渋谷駅で対応したために8分の遅れが出ております。
お急ぎのところ申し訳ございません」と繰り返し流れた。
放送の意図するところは何となくわかる。
「遅れの原因は自分側ではなく乗客側で、堪え性もなく諍(いさか)いを起すと多くの人に迷惑がかかるんだぞ」といった意味合いがこもっている。

学校にも何かにつけてすぐ周囲と諍いを起こす生徒が必ず学年に一人、二人いる。
担任としては厄介なハズレくじを引いたようなものだ。

基本的によくケンカをする生徒は家庭に問題があると言われる。

子どもは身近な大人を見習って成長するからである。
暴力シーンの多いマンガや劇画の影響も大きいと言われている。

家庭内での親の暴力を見たり受けたりして育った子どもは躊躇(ためら)うこともなく暴力に訴えるという。
暴力事件を起した生徒の保護者と面談する際に父親が現れた時は要注意である。
父と男の子は性格的に近似するらしく「男の子はケンカするくらいじゃなきゃダメだよね。
ネっ、先生!」と同意を求められることが往々にしてあるからだ。
「ウッカリそうですね」などと言ったら後々物議を醸すことになる。

教員としてケンカっ早い生徒との対応に上手い方法などない。

ただ些細なことで激高する子は過敏な神経の持ち主が多く教員も言動に細心の配慮を要する。
また保護者と面談する時は複数で対応した方がよい。
こちらの言葉を曲解されて言質を取られることもあるからだ。

概して心理的に追い込まれた時唯一の解決手段がケンカという生徒もやがては徐々に大人としての分別を具えていく。
常に変わらず長いスパンで気長に対応して、昨日の彼と今日の彼、明日の彼はそれぞれに好転した姿を見せてくれることを期待したいものだ。
決め付けることを避けて常に新たな目で見て穏やかに温かく接することで激高型の人間も穏健型に変わっていく速度も加速されるように思う。

2011/1/19 彦井 脩

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