VOL.61「姿勢」

2010/11/10

私は巣鴨にある「とげ抜き地蔵」の近くの小学校を卒業している。
下町の風情を色濃く残しているところで、子どもの頃はよく近所の小父さん達相手に縁台将棋を楽しんでいた。
正に「三丁目の夕日」を想わせる日々であった。
当時の仲間たちは散り散りに住処を変えたが、親の家業を継いで地元に残っている者も多い。

それぞれに爺さん婆さんと呼ばれる歳になったが、地元近くで時々クラス会を開いている。
歳はとりたくないもので、食事が終わった後で「忘れてた」と誰かが言って薬を取り出すと、「ワタシも」、「オレも」とほぼ全員が赤や青や黄色など色とりどりの薬をテーブルの上に並べる。
病気知らずの私は困った連中だと眺めたものだが、最近になって不整脈が出るようになり、すんなり仲間入りをしてしまった。

仲間をよく観察すると昔から姿勢の良かった人ほど健康な生活をしている。
姿勢と健康については多くの人がその密な関係について認めるところである。

姿勢が良いから健康なのか、健康だから姿勢が良いのかは判然としないが、姿勢の悪さは精神の均衡まで崩すように思われてならない。

仕事柄、時々先生方の授業を参観させてもらう機会がある。
概して廊下を颯爽と姿勢良く歩く方の授業は安心して見ていられる。
両肩が前に落ちて左右どちらかに傾いているような方の授業は眠くなるのを覚悟しなければならない。

自信があるから姿勢が良いのか、良い姿勢が自信を生むのか、これも判然としないが、いつも姿勢よく凛然と生きていたいものである。

私は高校生の時から弓道を始めたので姿勢は良い方だと自負している。
もともと猫背に近い姿勢だったが、最初に「背筋を真っ直ぐにして、息を吸いながら両肩を上げて、次に息を吐きながら両肩を後ろに落としなさい。
その姿勢でふだんの生活もしなさい。
」と指導された。
弓道は容易には上達しなかったが、あっという間に良い姿勢になり、性格まで真っ直ぐになったような気がしたものだ。

大人には言いにくいが、姿勢の悪い生徒に忠告することはできる。
将来の生き方にも影響するとなれば少々うるさがられても声をかけるべきと思われる。

2010/11/10 彦井 脩

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