VOL.54「悪ぶる」

2010/09/22

優れた教師は生徒の自尊心や功名心を巧みに刺激して向上心を育てる。
ところが下手をすると虚栄心を助長し見栄を張る子に育ててしまう。
その見栄もマイナスに働くと最悪である。

自分を少しでも良く見せようと粉飾するのはフツウで当たり前のことだが、自分がいかにダメ人間であるかを自慢気に吹聴する者がいる。
「オレは悪だ」といかにも得意気にマイナスの見栄を張って見せる。

こうなると困ったもので自分の身の回りから真面目なイメージを醸し出すものは一切排除したくなる。
常に不機嫌そうで気だるそうに「やる気ねー」などと言っては悪ぶるのである。

こうした生徒はどの学校にも必ずいる。
もともとカッコをつけて見栄を張って悪ぶっているだけだから完璧な不良にはなりきれない。
大人社会にもその成れの果てと思しき人種がいる。
チョイ悪オヤジなどと称されて悦に入り、本当は極めてフツウの小市民でありながら「オレは悪だから」などと周囲に言っては顰蹙を買っている。

そういった大人は、周辺の人間が心得ていて上手くあしらうから正に人畜無害だが、生徒となるとそうはいかない。
悪ぶる生徒を放置すれば、それをカッコイイと思ってマネする者が出ないともいえないし、本人も擬似悪から本物の悪に変化を遂げてしまう危険性もある。

私は現役中には、授業中の雑談で悪ぶったり強がったりすることがいかに恥ずかしく愚かなことかをよく話した。
また、大人でもそういう人がいてバカにされ疎外されているから、そういうオヤジになるなよとも付け加えた。

中間テストや期末テストの前になると、「昨日ぜんぜん勉強しないでゲームやってた!」などと大声でみんなに聴かせる生徒が必ず出現する。
「悪ぶっちゃってどうしたの?」とか「『本当は頭良いんだけど』と思われたいの?」などといった言葉が生徒の中から起こったりするようになった。
日頃の予防も大事なことだと思ったものだ。

2010/9/22 彦井 脩

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