VOL.51「私立校の広報」

2010/09/01

公立校と違って私立校はイメージや評判に敏感である。
特に進学率を上げることにどの学校も総力をあげて取り組んでいる。
多様な面から学校の評価がされるようになったとはいえ依然として進学率が大きな要素を占めているからである。

進学率向上への近道は、広報活動を通して保護者や受験生に学校の誇るべき点をアピールし、入学試験に多くの応募者を集めて力のある生徒を選抜するしかない。
生徒の選り好みをせず学校で力をつけるにも限界があるからだ。

多くの私立校では校務分掌に広報部を設けて教員を配属し、多額の予算を計上して高度な戦略を立て、それ相応の成果を上げている。
今や一般企業と変わらないどころか、むしろそれ以上の広報活動を展開している。
学校には教職のほかに事務職の人もいるが広報活動にまで人員を割くことはできず広報担当の教員や管理職が授業やクラブ活動やさまざまな校務の合間に校外での説明会や塾訪問に出かけることになる。

私はサイドで塾講師をしたことがあり、私立校の広報担当の先生を何度となく塾で
迎えた。
塾側に立場をかえると先生のさまざまな面がよく見えた。
忙しいなかわざわざ足を運んで「ウチの学校は進学指導にも生徒募集にも意欲的な教員が少ないんですよね」などといかに自分が孤高の存在であるかを訴えて帰る先生もいる。
塾訪問に来る教員にはこういうタイプの先生が多かった。
あの先生は一体何をしに来たんだろうと頭を傾げたくなることもあった。

学校は良かれと思って塾に出張を命じたのであろうが当の本人がこれでは逆効果である。
学校の浮沈を背負うといった覚悟をもって塾回りに臨んでほしいものだ。

高い志をもって教員をめざして教職に就いたら塾回りでは、つい愚痴の一つもこぼしたくなるのは分かるが訪問先で吐露するのはまずい。

私立学校では公立校のように採算度外視の安閑とした生活は望めない。
広報は私立学校にとっては不可欠な生命線とも言える。
多くの優秀な生徒あっての私立校である。

全ての教員は分掌を超えて全員が広報部員である覚悟が必要のようである。

2010/9/1 彦井 脩

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