Vol. 26「校内放送」

2010/02/17

かつて同僚にやたら校内放送の好きな教員がいた。
ささいなことでも生徒を呼び出す。
毎時間のように授業終了のチャイムの余韻に合わせて「2年B組のOOさん大至急職員室△木まで来てください」と全校に流れる。
とうとう「カラスの鳴かない日はあっても△木先生の放送のない日はない」と言われるまでになった。
近隣の人まで校長の名前は知らなくても△木先生の名前は憶えていた。

授業終了ギリギリまで授業をする教師も多く、時にはチャイム後まで及ぶこともある。
そんな時に大した用でもないような校内放送が流れると本当に腹が立つのである。

外国育ちで半端じゃないマイペースの△木女史に注意する勇気のある者がないまま、彼女が退職するまで放送は続いた。

Uという教員が1年先輩のK子先生と結婚した。
K子女史はやたら恐く、髪型や制服の着方にはいつも目を光らせ、生徒は名前を聞いただけでも震えあがっていた。

そのK子女史から旦那さん宛に電話があった。
面白いので早速校内放送で「U先生奥様からお電話が入っています。
至急職員室にお戻り下さい」と全校放送したら、学校全体がどよめいた後、一瞬静まり、しばらくして笑い声が起こった。
そんな中をU先生が汗をかきかき職員室に現れた時は大爆笑だった。

R中高に、教員をしている友人を訪ねて話しこんでいたら下校時間になった。
「皆さん・・・、総下校の時間になりましたよ・・・、クラブ活動ご苦労さまでした・・・、クラブは明日もできますよ・・・、」と長閑な放送が流れた。
赤い夕日が校舎を染める感傷的なひと時にあまりにも似合っていた。
生徒たちはこの老教師の当番の日の放送を楽しみにしているという。

「三年生に伝えます。
・・・」と最初に断わらず、全員が聞いていたら最後に「三年生」が出てくるといった人騒がせな放送もある。

学校生活のわずかな休憩時間に流れる校内放送にも生徒や教員の人生の綾ともいえるさまざまな想いがある。
校内放送にかかわる中高生時代を思い返すのも一興と思いますがいかがでしょうか。

2010/2/17 彦井 脩

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