VOL.255 「人類を幸せにする・日本」(井沢元彦)を読んで

2015/03/25

井沢元彦氏の「人類を幸せにする・日本」を読んだ。「まえがき」に世界の人々の幸福にいかに日本人が貢献しているかを当の日本人が一番知らないとあった。

イギリスのBBC放送が国際調査した「世界に貢献する国」が2006年から3年間連続で、日本が断トツのトップだったという。日本ほど開発した科学技術を自国の軍事のために使うことなく全ての人類の幸せのために使う国はないという。

そうなんだと誇らしく感じるとともに、人が自分のことはよく見えないように自国のことも分らないものだと納得させられた。

井沢氏は、「日本のモノづくり」が世界の人々をいかに幸せに貢献したかを挙げている。巨大な映写機や計算機を小型化、低価格化し、自宅でも映画を楽しめるVTRやカバンにも入る電卓を開発したのも日本人だという。なんと電卓は重さも価格も500分の1になったそうだ。

小型化については、韓国の文明批評家の李御寧(イーオンリョン)が『「縮み」志向の日本人』で著したユニークな日本文化論を紹介している。

トランジスタラジオが日本の文化を象徴するという。既存の日本文化論は「わびさび」「武士道」「義理人情」「甘えの構造」等々、名詞によるアプローチであるのに対して、李氏は動詞のアプローチ「込める」「詰める」「折り畳む」を挙げ、それらを貫く概念として「縮み」にまとめた。 成程、扇子や提灯のように折り畳んだり、重箱入りのお節料理のように詰め込むことが日本では行われてきた。トランジスタラジオや電卓にとどまらず、車、胃カメラ等々多様なものを小型化、低価格化し、国の内外を問わず世界の人々のために貢献している。

井沢氏は日本人が世界の人々の幸せに貢献する分野を「モノづくり」に限らず、文化・食べ物・国際貢献やIPS細胞など未来を拓く技術も併せて挙げている。

「あとがき」に今、元気をなくしている日本人に「喝」ではなく「活」を入れたくこの本を書いたとある。確かに若干元気になったし自国を見る目を培うためにもグローバル化を進める必要を教えられた。皆さんにお薦めしたい一冊である。

 

2015/3/25 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

ご意見・ご感想は彦井 hikoi@careervista.jp まで。