VOL.254 ?を!に

2015/03/11

ずいぶん昔のことになるが同僚から聴いた話である。我が子と小学校の入学式に参列したら女性の校長先生が新入生に向かってこんな話をしたそうだ。

二枚の画用紙を手に壇上に立ち、「入学おめでとうございます。皆さんは今日から小学生です・・・勉強や運動をいっぱいやって、たくさんの「ナゼ・・・?」「ドウシテ・・・?」が「ワカッタ!」「デキタ!」になるように頑張りましょう」と言って、紙いっぱいに大きく書かれた?と!を掲げたそうだ。

そんな話を聴いて、私はその場に居合わせたような感慨を覚えた。当の子ども達が校長先生の思いをどの程度理解したか分らないが、保護者たちはこんな校長先生のいる学校なら子どもたちは幸せだと思ったにちがいない。

基本的に学校は生徒たちにさまざまな「?」を提供して、「ワカッタ!」「デキタ!」といった感動を経験させる所だと思っている。

学校に限らず大げさな言い方になるが、人の一生も「?」と「!」の繰り返しと言えないこともない。

ただ人は怠惰に流されやすい生き物で、周囲の人を質問攻めにしていた幼児もやがて少年になり、全てに無関心な大人への道を歩むことになる。

「少年少女の心を持ち続けたい」とよく言われる。誰しも若いうちは自分を取り囲む世界に真正面から向き合い、「興味や関心を覚えたもの」「不可解なもの」「意味不明なもの」があれば積極的にアプローチする。

年齢を重ねていくとキラキラと輝いて見えたものも色褪せて、興味や関心を持つどころかまともに向き合うこともしなくなる。社会人ともなると変哲もない日々が続いて全てに新たな目を向けることができなくなる。

困ったことに教職に就くと年々歳々生徒は変わるが、教える内容は毎年大きく変わることもなく、やがて生徒たちの興味や関心を惹く「?」を提供する努力も疎かになる。教師という職業を選択したなら、常に心も目もリセットする努力を怠らず、生徒と共に「?」を「!」に替える感動を積み重ねたいものである。

 

2015/3/11 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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