VOL.247 オノマトペ

2015/01/14

 TVでスポーツの技術向上にオノマトペが有効なことを紹介していたのを観たことがある。

ゴルフのスイングするタイミングを「チャー・シュー・メン」と教わった人は多いと思う。「叉焼麺」という普通名詞を擬態語として使ったものだ。確かにこの3音節でスイングすると、打ち急ぐこともなく良い間がとれるから面白い。

オノマトペは擬音(声)語・擬態語を総称して声喩とも言われる。擬音語は音をそのまま言葉で表した語で、擬態語は物事のようすや動きを音の感じで表した語である。「扉をトントンたたく」「にこにこ笑う」のように、擬音語はカタカナで書き、擬態語はひらがなで書くのを基本としている。

日本では犬は「ワンワン」、ネコは「ニャーニャー」だが、英語圏では犬は「bow won」ネコは「meow」と表記するという。慣用的に使われると日本人の耳には犬は「ワンワン」、ネコは「ニャーニャー」としか聞えないから不思議である。

このオノマトペがゴルフに限らず、さまざまな競技に使われて成果をあげているそうだ。回転をともなう体操や水泳の飛び込みやフィギアスケートなどには有効なのだろう。観客には一瞬にしか見えない動きも、選手の頭の中では「スー・クルクル・トントン・パ」などと分節されて組み立てられているのだろう。

長嶋茂雄氏が監督時代に選手たちのバッティングを指導するときオノマトペをよく使ったという。「スー、パー、ポン、ドーン」といった感じである。「何も説明してないじゃないか?」と思うのは素人の悲しいところで、選手たちは「よく分りました」と答えていたそうだ。「そう言わざるを得なかったのでは?」と勘ぐりたくなるが正に邪推で、天才のタイミングはそれなりの力を持つ者なら分るのかもしれない。

体育や音楽の教師ならともかく、残念ながら英語や国語の教師がオノマトペを有効に使う機会はない。ただ授業の組み立てやルーティンのタイミングにオノマトペによる分節の手法を応用することで、スポーツの技術向上と似た効果が期待できるかもしれない。

 

2015/1/14 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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