VOL.243 人付き合い

2014/12/03

阿川佐和子氏の「グダグダの種」を読んでいたら、こんな一文があった。「女同士の親しい関係は基本的に長続きさせるのが難しい。と、私は信じている。」

「そんなもんかなぁー」と思うものの、女になったこともないし、なりたいと思ったこともないので全く分らない。どうやら女性の世界は私にとっては終生混沌たる秘境のままこの世とお別れしそうである。

「女子校勤務32年、カミさんも娘もいながらよく言うよ」と言われそうだが、正に本音である。

女性は結婚で生活環境が相互に変わるのを機に次第に友人関係も疎遠になると阿川氏は指摘する。俗に男同士のように女の友情は続かないと言われる所以でもある。教え子たちの卒業後を考え合わせると異論を唱えたい点も成程と頷ける点もある。

先日原宿の竹下通りの近くにあるお洒落な店で小学校のクラス会があった。古稀を超え喜寿に近いジイサン、バアサンには不釣り合いな場所であったが愉しい時間を過ごした。小学6年生を起点にして60年以上の歳月を、それぞれに多様な人生行路を歩んできた17人が一堂に会するのは一編のドラマとも言える。

この歳になると友人の付き合いも男女を問わず「淡き水のごとし」である。

お年寄りが集う巣鴨の「とげぬき地蔵道通り」近くの小学校が私たちの母校である。地元での自営業、僧侶、教師、会社員、公務員等々それぞれに多彩な経歴を持つが仲良い付き合いが続いている。男達はもちろん女性同士も良い関係を保っている。

生活環境の隔たりが必ずしも親しい友人関係を疎外しないことを実証しているようだ。「荘子」の「山木篇」に「君子の交わりは淡きこと水のごとく、小人の交わりは甘きこと醴(甘酒)のごとし」はよく知られている。

今多くの中高生たちはスマホのラインで結ばれ、正に四六時中情報を交換しあっていると聴く。「ライン外し」に遭わないように瞬時の対応に追われるという。

長く豊かな人間関係は甘酒のようなベタベタと相手を束縛する濃密さからは育たないことを生徒たちにも伝えたいものである。

 

2014/12/3 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

ご意見・ご感想は彦井 hikoi@careervista.jp まで。