VOL.242 安楽死の是非

2014/11/26

重症な脳腫瘍患者のアメリカ女性が安楽死を公表して亡くなり、センセーショナルな事件として全世界に報じられた。「死ぬことは権利なのか?」「生きることは義務なのか?」といった古くて新しい問題を改めて提起することになった。

 日本人の平均寿命は世界トップクラスであるが、寝たきり老人の数は他の先進諸国と比べて圧倒的に多いそうだ。欧米では日本のように過剰な治療をしないからという。麻生副総理の「さっさと死ねるようにしてもらう・・・」といった失言が話題になったが、勿論「自分だったらそうしてほしい」と思ったことを吐露したものだろうが公人としては「如何なものか」ということらしい。

 老人たちは揃って「ピンピンコロリ」を願い神社仏閣に願掛けをする。長野には「ピンコロ地蔵」もあるという。誰も治る見込みもなく生命維持装置をつけられ激痛に耐えながら死を待つなど望んでいない。「それなら前もって意思表示しておけ」と言われても、ピンピン元気なうちは考えも及ばない。

 老人受難の時代と言われている。若干被害妄想のきらいもあるが頷ける点も多々ある。年金の課税対象とか、年金受給者が一定以上働くと減額される等々理不尽極まりない。「貴方はイイ歳になっても働いてエライ」といって逆に報奨金でも加算されたら老人は元気になり国の老人医療費負担も軽減されるだろう。老人は先がないから稼いだ金を温泉地などで浪費してくれれば地方も潤い経済効果も上がる。

「老人が若者の働く場を奪う」といった発想がなぜ生まれるのか不可解である。老人でも出来る仕事しかできない若者を鍛え直す仕組みでも考えたほうがいい。

「戦後の日本を復興させた老人を大切に!」といったオタメゴカシの優しさを信じる老人など誰一人いない。老人たちは働くよりじっとしている方が得とTVの前に座り込む。動かないから病気になる。病気になると妙な優しさを発揮して押しつけ過剰医療を施す。せめて安らかに天に召される権利があってもいい。

人の終末を考えることは「人生如何に生きるか」を考えることでもある。取り上げ方は難しいが「安楽死」について生徒たちと話し合う機会を考えてはどうだろう。

 

2014/11/26 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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