VOL.229 教師の喜び その4

2014/07/23

前回は「生徒の心身の成長に立ち会う喜び」について書いた。今回は「生徒と共に学ぶ喜び」について書くことにした。

教職に就いて先輩の先生方から「教えることは学ぶことだ」とよく言われた。教壇に立ってみて成程と痛切に実感した。生徒から教わることが多かったからだ。

教師の主たる仕事は教科指導である。50分の授業を、導入から展開、確認に至るまで流れるように運ぶことはなかなか難しい。教師は雑務が多く短時間で下調べをして授業に臨む教師がたくさんいる。教材研究なしで難なく授業をこなすには高い能力と経験が物を言う。

自分が新米教師だった頃のことを思うと今でも冷や汗が出る。私の場合、物を言わせたのは厚かましさだけで、生徒にとっては迷惑千万だったと思う。

長く教師をやってきて実感したことだが、成績の伸び方は男女によってかなり違う。女子は本人の努力に応じて右肩上がりに順々に伸びていくが、男子は上がるのも下がるのも急激なカーブを描くことが多い。

「○○先生の授業を受けてから成績が上がった」といった言葉をよく耳にした。

相対評価なら上がった者がいれば、下がった者もいるはずで、たまたまその先生との相性がよかったということだ。しかし「○○先生のおかげでよく分かるようになった」といった声が多ければ正に絶対的な評価で称賛に値する。

教師になったからには常にそうありたいものだ。飛躍への助走を生徒と共にスタートし、彼らの背中を押してやれたら教師としてこれ以上の喜びはない。

生徒が消化不良や道半ばで投げ出したり挫折しないような気配りが教師には必要である。生徒の理解度に応じた課題づくりと適切な指導をタイミングよく教師は進めねばならない。時には生徒の側に立って問題に向かうといった共に学ぶ姿勢が必須の条件となる。

勉強合宿などで、生徒、教師が一体となって意欲的に難問に取り組み、苦労の末一つの答えを導き出す感動や達成感を生徒と共有できるのは教師の特権である。

2014/7/23 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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