VOL.227 教師の喜び その2

2014/07/09

前回に「教師の喜び」の一つとして「教師の出会い」を取り上げた。今回はまた別の視点から教師の喜びを取り上げてみたい。

昔、職員室で「生徒がいなければこんなに良い仕事はないんだけどなー」と溜息混じりに言った教師がいて大笑いしたことがある。その場に居合わせないとその微妙なタイミングの面白さは分からないが、教師を経験した人なら何となく分かってもらえると思う。正に言い得て妙な言葉だからだ。

教師の仕事は授業が中心だが、実際に教職に就いてみると授業よりも雑務に追われる時間が長く、その合間に授業に行くといった状況の中で、授業よりも今やっている仕事に取り敢えずケリを付けたいと思うことが度々ある。

学期末など資料づくりに追われているときはこういった心境に陥ることが多い。生徒がいての教師だが、「生徒さえいなければ仕事が捗る(と正に本末転倒の思いが一瞬心をかすめるときもある。

教師もさまざまで、率先して生徒に近づいて共に学び、共に活動するタイプの人と、職員室で、コツコツと学級だよりや諸々の資料づくりなどに打ち込み、生徒にあまり近づかない人がいる。困ったことに管理職になるのは後者のタイプの人が多く、後々生徒の気持ちに理解を示さない頭の固い教頭や校長が誕生することになったりする。

教職を選んだからには進んで生徒の近くにあって喜びも悲しみも共に分かち合いたいものだ。クラブ活動も共に汗を流せば勝敗にかかわらず心に染みる。生徒達が卒業して何年経っても食事会などで会う度に試合の思い出話に花が咲く。

文化祭で担任と生徒が一つになって教室にサザエさんの住む磯野家の間取りを再現させたクラスがあった。しばらくは受験勉強も忘れて一丸となって取り組み、完成の暁に手を取り合い喜んでいた生徒や担任のどの顔も達成感に溢れ眩しく見えた。

勉強合宿やクラブ活動合宿などを共に頑張り抜いた後に訪れる充実感や爽快感を生徒達と共有できるのは教師だけに与えられた特権であり大きな喜びなのである。

2014/7/9 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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