VOL.223 セカンドフィールドを持とう

2014/06/11

5月病という言葉をあまり聴かなくなった。該当者が少なくなったのではなく、当たり前になり過ぎて今さら取り上げる意味がなくなったのかもしれない。

5,6月になると精神科を受診する教員が多くなるという。新しい年度が始まり担当学年の教員や生徒達との新たな人間関係がストレスを生むようだ。生徒の背後には保護者もいるのだから精神的な負荷はさらに大きくなる。

学校は4月が1年の始まりで入学式、始業式、身体測定等々行事も多く、教員は雑務に追われる。仕事が一段落して授業に専念できると思ったところ、ゴールデンウイークを迎える。張り詰めていた身体を一気に疲れが襲い、心身に不調を来たすのである。いわゆる5月病である。

適応障害とか鬱病と診断されるようだ。症状は不眠・食欲不振・摂食障害・アルコール依存症などである。周囲からは緊急医療の対象ではないと判断されるだけでなく、単に気力や意欲を欠いているだけだと非難されることさえある。

私は長く教員をしてきたが幸い?能天気に生まれたのか5月病に罹ることはなかった。教職は個々の資質に負うところが多く有効な5月病対策などはないという。

多様なタイプの先生方を見てきたが、鬱になる方に共通するのは一つの仕事に時間のかかることだった。完璧を期し慎重になり過ぎてバランス感覚を失うらしい。概して生真面目な人が多かった。

一方鬱にならない先生に共通するのは趣味などセカンドフィールドを持っていることだ。逃げ場とは言わないまでも、他に癒し所を持っている人には余裕が感じられた。生徒も同様でクラブやサークル活動などホームルーム以外に居場所があるとウツや不登校にならないようであった。

その二つの場が程良く均衡を保っていることがポイントで主従のように軽重があっては一つと変わらず意味がない。TVで脳科学者の茂木先生が老化防止のためにアウェイに挑戦することを勧めていた。単独の価値観に身を委ねるよりも他のフィールドから自己を見ることが鬱や老化予防の有効な一つになるのかもしれない。

2014/6/11 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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