VOL.208 好事魔多し

2014/01/08

新しい年を迎えた。昨日に続く今日で何がどう変わるわけでもないのに、元日の朝は目に触れるもの全てが生まれ変わったように新鮮に見えるから不思議だ。

子どもの頃、元日の朝に庭で父と「四方拝」をした記憶がある。平安時代から始まった宮中行事で、新年に天皇が早朝四方に拝し国家・国民の平安を祈るものらしい。父が小学生の私と一緒に東西南北に拝礼した理由は分からず仕舞いのままだが、たまたま庭にいた私に知識の一つとして教えたのかもしれない。正式には伊勢神宮の方向から拝礼するものらしい。

門松を立て、元日の朝は一家そろってお雑煮にお節料理を食べるといった民間行事は必ずしも型通りではなくても今なお多くの家に伝わっている。正月三が日は街中に着物の女性も見られるし、鈴などのついた破魔矢を持つ子供の姿も可愛らしい。「破魔矢持つ この子らの夢 育つべし」誰の作か忘れたがこんな句が心に浮かぶ。日本に生まれてしみじみ良かったなと思う。

先日、経団連などが主催する新年祝賀パーティーが多くの企業家を集めて開催され報じられた。今年の景気について取材陣に応える大手企業のトップたちは口を揃えて好景気を予想している。安部首相も景気対策の3本の矢、アベノミクス成果を株価などに照らして得々と語っている。歴代内閣を超える支持率をバックにした靖国神社参拝は今がチャンスとの確信犯説あり、特定秘密保護法案を強引に成立した理由にも特別な極秘案件ありとも取り沙汰され、何か危険なニオイがする。

戦後、日本は米国の押しつけとはいえ戦争放棄の九条を持つ憲法のお陰でどの国とも交戦もせず70年にも及ぶ平和を保ってきた。日本の繁栄は南北朝鮮やベトナム戦争特需のお陰とも言われるが、今の平和を永く維持してほしいものだ。

日本は東京オリンピック招致も決り高揚感に溢れている。「智者は歴史に学ぶ」という。第二次世界大戦参入に財閥が大きく関わったことや、1940年のオリンピック東京開催をヘルシンキと争って決定しながら1939年に勃発した日中戦争のために開催返上をした事実を、年の始めに思い返してもいいと思う。

2014/1/8 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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