VOL.204 損得勘定

2013/12/04

よく得した話を得々とする人がいる。「ネクタイにチョット傷があったので値切ったら半値になったよ」などという話をよく聴く。

いつも損ばかりしているのでどちらかというと他人様の得した話はあまり面白くない。それが単なる偶然の産物である僥倖なら、「運が良かったネ」と拍手ものだが、作為的につかみにいったものなら、なんとなく不快を覚える。小ずるく振る舞ってヌクヌクと過ごしている人間をたくさん見てきたせいかもしれない。

逆に損をした話は、「他人の不幸は蜜の味」とは言わないまでも、その人の損をするようなお人好しな人柄が見え隠れして心が和んだりするものだ。

何はともあれ些細なことから大きなことまで何かにつけて損得勘定するような人とはオトモダチにはなれない気がする。

学校は人生において、しなくてもよい損をしない知恵を授ける所と言えないこともない。親にしてみれば、我が子が損ばかりしているよりも幸運な人生を歩んでもらいたいと願うだろう。だからといって学校が功利的・打算的な人間の養成所のような施設には陥らないでほしい。

ただ受験生も保護者も「将来の安定した生活」への道を拓いてくれる学校を求めている。より偏差値の高い学校に入学して、卒業後は一部上場の一流企業に就職する。これが将来の安定に続く確率的に最も高いモデルケースと信じられ、学校が予備校化する所以にもなっているようだ。

受験生や親の要望が先か、予め学校側が受験生や親の要望を見越したのか定かではないが、まずは目の前にある利益を確保する「花より団子」的な道を選択する学校が増えているように思われる。それが相互に互恵関係にあるなら両者間では問題ないだろう。

一流の職人は売れる物より優れた物づくりを目指すという。学校も生徒も目先の損得勘定に惑わされず優れた人格の形成と社会的な基礎能力を身に付けるために共に高みを目指したいものである。

2013/12/4 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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