VOL.203 夢見れば…

2013/11/27

「動物も夢を見るか?」については意見の異なるところらしい。
「トラに追われる夢見ちゃった」なんて言うネコがいたら謎は一挙に解決する。
いつも一緒に寝てるイヌが、寝言らしき声を出すので彼らも夢を見ると言い張る人もいるという。

夢は豊かな想像力を育むという説もあり、「寝る子は育つ」というのは心身両面の成長に効能があるというのだ。
だから成長期の子どもはよく寝るのかもしれない。
ところでネコはよく寝るので「寝る子」から生まれた言葉という説があるそうだ。
「子」 は親しみを表す接尾語で「どじょっこ」や「ふなっこ」に相当する。
もしネコが夢を見るなら彼らはかなり想像力豊かなペットということになる。

“If you can dream it, you do it.” ウォルト・ディズニーの言葉だ。
「夢見ることができたら、実現できるさ」といった意味だろうか。
このように欧米では夢を比喩的にとらえて願望や目標といった意味に用いることが多いようだ。

ところが日本では「夢」を頼りない儚いものとして古くは受け止めていたようだ。
小野小町の歌に「うたたねに恋しき人を見てしより夢てふものは頼めそめてき」(ウトウトしていたら大好きなあの人と夢で出逢ったの。
きっと彼も私のことを想ってたんだわ。
その時から頼りない儚い夢なのに信じるようになったのよ)がある。
「人を想うと、その人の夢の中に登場する」という当時の言い伝えを踏まえた歌だ。

日本人は夢を目標といった意味よりもこうした朧気(おぼろけ)なものとしてとらえていたことがよくわかる。
日本でよく使われる言葉の「夢想する」は現実には起こりえないことをとりとめもなく思うことであり、「夢幻」は儚いことを表す。

睡眠中にいろいろな物事を現実に見聞きしているように感じる現象が夢本来の意味であるが、今では日本でもほとんど希望や目標といった比喩的に用いられることの方が多い。

現実の世界で眼前にない未来を予測することは知的な想像である。
若者たちには心の中に思い描く夢を大きく育ててほしいものだ。
単なる妄想や空想から現実を見定めて進むべき道を構想できるのなら夢見ることは素晴らしいことだからだ。

2013/11/27 彦井 脩

彦井先生写真②  

彦井 脩

当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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