VOL.201 脇役

2013/11/13

TV番組でドラマが話題になったのは久しぶりのような気がする。
ご存知「半沢直樹」と「あまちゃん」である。

「あまちゃん」は、出勤前の15分間、軽快なテーマソングと主役を演じた能年玲奈さんの初々しさが朝の清々しさにピッタリで毎朝楽しく観た。
「半沢直樹」は、池井戸潤の小説をドラマ化したもので彼の直木賞受賞作品「下町ロケット」が良かったので興味津々で観たが実に面白かった。
「あまちゃん」は東北地震の被災地を舞台に自然の復元力と前向きな人の強さが描かれ救われる思いがした。
一方「半沢直樹」は銀行の裏面を背景に「曾我兄弟」のような仇討ちの要素を持つ面白さがあった。

2つのドラマを観て脇役の力の大きさをあらためて感じた。
「あまちゃん」は舞台俳優の渡邊えり子・木野花・尾美としのりといった芸達者な人たちがガッチリ脇を固めていたし、「半沢直樹」は、主役の堺雅人も好演だったが、目の動きだけで多くを語る香川照之の正に鬼気迫る演技は圧巻だったし、片岡愛之助、北大路欣也も良い味を出していた。

もちろん主役ぬきにドラマは語れないが脇役の力に負うところが大きい。
歴史上の人物でも豊臣秀吉には豊臣秀長や竹中半兵衛、武田信玄には山本勘助、近藤勇に土方歳三、毛沢東には周恩来がいる。
野球でもサード長嶋の派手なプレーに対して地味ながら堅実にボールをさばく名ショート広岡がいた。

学校での主役と言えばやはり生徒である。
主役を輝かせるには脇役の教師の働きが大きい。
教員研修などで模範的な模擬授業を何度か見せられたが何故か違和感を覚えた。
授業は「いかに教師が力を尽くした」ではなく「どれだけ生徒が意欲的に学習した」が基本だと思うからだ。
研修の受講者を対象とした授業と、力も意識もばらばらな生徒を対象とした授業とでは状況が違い過ぎるからだ。

心ある現場の教師は生徒の学習意欲を喚起すべく地味な努力を続けている。
主役は自分と勘違いしているような授業自慢の教師よりも、脇役に徹して生徒主体の授業を工夫する教師でありたいものだ。

2013/11/14 彦井 脩

彦井先生写真②  
彦井 脩 当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。 ご意見・ご感想は彦井 hikoi@careervista.jp まで。