VOL.199 偲ぶ会

2013/10/30

今年の8月に小学校の同級生のYさんが急に亡くなった。
利発な人で、まだワケの分らぬガキンチョだった頃の私にはお姉さんのような存在だった。
家も百メートルと離れていなかった。
5、6年生は組替えがなくクラス全員が仲良しで、今でも家族のような縁が続いている。

神道の葬儀で五十日祭を済まされ、先日池袋のホテルメトロポリタンにクラスの仲間が集まり、Yさんのご主人も迎えてささやかな「偲ぶ会」を開いた。

献杯の発声を指名され、「今日はそれぞれにYさんとの絆を話し、沢山の想い出を共有できれば、みんなの心の中に彼女はいつまでも生き続けます・・・楽しい想い出は楽しく話しましょう・・・」といった話の後に遺影に向かって杯を捧げた。

Yさんは面倒見がよくクラス会の幹事を引き受けてくれていた。
クラス会の前には必ず会場の下見までしていたという。

クラスの仲間たちもいずれはあの世に逝くことになる。
身勝手な想像だが彼女は一足早くあちらに着いて出迎える準備をするのかもしれない。
そう思うとあの世に向かうのもあまり怖くなくなる。
小学校時代の仲間と話していると、既に亡くなっている友人もいて、大げさだが生と死の境が希薄になる。
幼少時からの友人との縁は現世を超えた悠久の時の流れさえも感じさせる。

Yさんの偲ぶ会の後、過ぎ去った日々を思い返すことが多くなった。
事あるごとに後悔することの連続であったが、今にして思えば全て結果的にはオーライだったような気もする。
人生の節々で出会った人々に恵まれたこともあるし、自分なりに正直に一生懸命生きてきたお陰とも思っている。

長く生きてきて分ったことは決して難しいことではなかった。
人生行路の一刹那でも「今を大切に生きる」ことである。
若いうちは今という時が緩急の流れの中にあることが理解できない。
青春と呼ばれる世代の速さは誰もが後になって気づき認めるものだ。
たとえ無為に過ごしても、それも含めて人生だが、身をもって「今を生きる大切さ」を今青春のただ中にある若者たちに伝えたいものだ。

2013/10/30 彦井 脩

彦井先生写真②  
彦井 脩 当社アドバイザー。 昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。 ご意見・ご感想は彦井 hikoi@careervista.jp まで。