VOL.196 間

2013/10/09

10月6日、市ヶ谷のアルカディア(私学会館)で我が社主催のセミナーが100名近い教職志望者を集めて開かれた。首都圏の有名私立3校から管理職の先生方を講師としてお招きして、今回は主に教員採用の際に実施される「模擬授業」について、その概要や学校側の観点などをお話いただいた。
登壇された先生方はそれぞれに、発声・視線や表情・コミュニケーション力等々評価基準のポイントを話された。お一人の先生から「授業内容はきちんとしているが抑揚がなく平板な説明が長く続くのも困りますね」といった指摘があった。

最近は少なくなったが、昔は生徒が寝ていようが他教科の勉強をしていようが我関せずと淡々と授業をしている先生が結構いた。概して高い教養を身に付けた先生に多く説明も完璧なのである。教師に芝居気など要らないがその場の空気を察知する力と適切な間を掴めないととかく冗長に流れるものだ。

先日、ビートたけしの『間抜けの構造』(新潮社)を読んだが実に面白かった。とくにコンビを組んでいた、相方のきよしさんとのデビュー当時のくだりは思わず吹き出した。

口述筆記したような文体、流れるようなテンポで最後まで一気に読ませるあたりは間抜けにならない天才たけしの面目躍如といったところである。巻末に書かれている「『生と死』というよくわからない始まりと終わりがあって、人生というのはその“間”でしかない。・・・・・だからこそ、その“間”を大事にしようぜ」は本当に深い言葉だなと思った。

自分を俯瞰的に見られない教師は、生徒が退屈し辟易しているのに同じことを延々と説明する間抜けになりかねない。セミナーで、受講生に向かって教職以外の多様な分野の人とも幅広く交流を深めることを勧めた講師がいた。確かに交友関係が豊かになれば人間としての情味も深まり生活の幅も広くなるだろう。日ごろの生活環境が充実したものになればバランス感覚も培われ、自ずと言動について磨かれ間を外すことも少なくなるだろう。

2013/10/09 彦井 脩

 

彦井先生写真②

 

彦井 脩

当社アドバイザー。

昭和38年にキリスト教主義の女子校に勤め、その後、平成4年に男子校に転じ平成20年までの45年間教員生活を続けた。その間、塾や予備校の講師、参考書やエッセイの執筆もする。

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