VOL.178 「教科書+α」

2013/05/22

定年過ぎまで勤めていた学校のクラブの監督を頼まれ今も指導している。因みに弓道部である。結構戦績もよく昨年度は全国高校総体にも進出したし、全国私学大会では優勝もしている。

練習前などに生徒たちの雑談を聞いていると、さまざまな情報が入ってくる。生徒の視点に立つと学校全体が現役で教壇に立っていた頃とはまるで別の姿に見えてくるから恐ろしい。

特に気になるのは教師の評判である。「あの先生、教科書ベッタリだよなぁー」といった言葉が飛交ったりしている。

教科書で授業しているのだから、ベッタリになるのは当然と思うが、教科書は生徒が理解しやすく編集されているので賢い生徒は自分で読めば分かってしまう。

彼らは教科書プラスαの授業を期待するのである。全員がそんなに優秀な生徒であるはずもないが、教科書にはない情報を得ると充実感を覚えるらしい。塾や予備校に通った経験を持つ生徒が多いからかもしれない。

教科書は基本的なところにとどめて生徒の力量に合わせて受験情報を盛り込む教師も多い。教科書の内容も理解出来ない生徒に消化不良を起こすような授業をしても逆効果と思えるが、不出来な生徒ほど自尊心は強いものだ。

難関大学やセンター入試の問題にも平易なものもある。彼らの功名心をくすぐるような課題に取り組ませ、ヤッタ感を持たせるような演出をすることも大切である。

ただ教科書の基本的なキーポイントは外せないので、何を省略し学習の核心をいかに残すかが教師の力量の目安となる。

2013/5/22 彦井 脩

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