VOL.165「子柄」

2013/01/30

人格や人品を概括し、その人の醸し出している雰囲気を人柄というようだ。

私が最初に勤めたのは明治期に創られた古い学校だった。ベテランの先輩教師たちが「あのクラスは子柄の良い生徒が多くて授業がしやすい」といった言い方をよくしていた。コガラと言えば一般的には「小柄」でふつうより小さい体格のことだが、明らかに「子柄」で、子どもなりの人品骨柄の意味に使っていた。伝統校の長い歴史のなかで受け継がれて来た独特の用語らしく、いつしか私もふつうに使うようになった。なかなか使い勝手のよい言葉であった。

子柄があるなら教師柄、略して「師柄」とでもいう言葉があっていいかもしれない。

教師として具えていてほしい人格がほぼ満たされていれば、「師柄が良い先生だから授業が受けやすい」などといった使い方になるのだろうが「子柄」のようにしっくりこない。

長い歳月、教員生活を送ってきて分かったが概してのんびりした先生が受け持っているクラスは何となくのどかになるし、いつもぴりぴりしている先生が指導するクラブはいつも緊張感が漂っていたように思われた。

教師の人柄が子柄の良い生徒を育てるなら、教師は良い人柄の涵養が必須条件となるだろう。一般的に生徒は少々勉強ができなくても子柄が良い方が好ましいし、教師も才気煥発な人よりも穏やかで温かな人柄を具えている方が支持される。教職志望の向きは自らの人柄教育に励んでもらいたいものである。

2013/1/30 彦井 脩

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