VOL.157「ワカッタ?」

2012/11/28

「ワカッタ?」、教師が生徒に向かってよく発する言葉である。
ところが生徒によってはこの言葉が大嫌いという。特に数学や理科など理系の授業で、この言葉を連呼する教師が多いようだ。

まさか「分かんねぇだろー」などと残酷なことを言う教師はいないと思うが、理数系の苦手な子には「わかった?」は同じように聞こえるらしい。

数学の問題を説明している教師が黒板をこぶしで叩きながら「わかった?」と繰り返されたら、混沌とした中にいる不出来な子は強迫観念に駆られるらしい。「分からないのはボクだけか?」と煩悶するうちに、「ワカッタ?」という言葉が「ワカンネェダロー」という揶揄する言葉に聞こえてくるのも、文系の人間としては痛いほど分かる気がする。

何気なく不用意に発する教師の言葉に傷つく生徒もいれば、ヤル気を喚起される生徒もいる。「みなさん、お分かりになりましたか」などと丁寧に優しく言ったところで変わるわけもなく、逆にバカにされたように思う生徒もいるかもしれない。

それなら教師は一体どんな言い回しをしたら良いのだろう。良心的な教師がいて、全員が理解するまで先に進まなかったら、到底定められた課程は消化できなくなる。だから教師の「ワカッタ?」は本当に確認しているわけではなく、手拍子や掛け声同様の「合いの手」のようなものかもしれない。

教師は「ワカッタ?」に限らず、本来の意味を失ったような意味のない言葉を不用意に発しないことだ。無責任に「ガンバッテ!」を連呼するのも似たようなものだ。

2012/11/28 彦井 脩

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