VOL.146「最高でなければ最低?」

2012/09/12

先日阿川佐和子さんとドナルド・キーンさんの対談をTVで観た。阿川さんが最近の日本人について訊くと、キーンさんは「近ごろの若者は『最高でなければ最低である』と考えるようだ」といった感想をもらした。

キーンさんと言えば日本文学の研究家で文化勲章も受章、3・11の震災後日本国籍を取得したことでも話題になった人である。
日本の文化を愛し続けてきた人の言葉だけに重く感じられた。
キーンさんが親しんできた古きよき日本人の感性は直情的な全てを二極化するような単純なものではなかったはずだ。元来日本人は何事にもほどほどの中庸を好む国民性を具えていたように思われる。

最高ではなくても、あと一歩という位置もあるし、一歩下がって二歩進むことだってある。

教師がもっとも配慮するべきことは、「この子はこうだ。この子はああだ」というレッテルを貼って決めつけてしまわないことだ。生徒も百人百様の心と身体を持っている。特急型もいれば鈍行型もいる。ましてや人格形成期にある人生行路の一刹那を切り取って、その時点での極端な判断は厳に慎むべきことだ。

とかく教師は生徒の学習へのモチベーションを高めるために、安直に「最高!」とか「最低!」といった過激とも取れる極端な言葉を発することが多い。

学習に上手い方法などはなく着実に一歩ずつ積み重ねていくものだ。一喜一憂を繰り返すことより継続性のある地道な努力を勧奨し、日本人の特性ともいえる穏やかな感性を生徒共々取り戻したいものである。

2012/9/12 彦井 脩

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