Vol.14「質問」

2009/11/18

教師にとって生徒の質問に答えることは単にアフターケアにとどまらない。
授業の内容が生徒に分かりやすく正確に届いているかの確認の意味も持っている。

生徒には悪いが、ゴキブリを一匹見たら十匹はいると思えと言われるように、内容にもよるが質問をする生徒がいたら、その箇所でつまづいている生徒が複数いると思って間違いないだろう。

そう考えると質問をしてくれる生徒は有り難い存在でもある。

生徒がよく質問に来る先生は概して力のある先生であった。
生徒も信頼できる教師だからこそ質問にくるのである。

しかし、生徒がせっかく質問に来ても、なかなか理解してもらえずに困り果てていることもある。
よく観察していると、説明が下手なわけではなく、同じ説明を繰り返している場合が多い。

生徒はその説明ではわからないから、質問に来ているのである。

昔よく生徒を引率して、奥志賀にスキーに行った。
地元の方にスキーのコーチをお願いしたが、同じ初心者でも力の差が2日もしないうちに歴然と出てしまう。
生徒の上達が速いグループのコーチはスキーも上手だが、説明の言葉をたくさん持っていた。
生徒の反応を見て、巧みに言葉を使い分け、指導のバリエーションを変えていたのだ。

人にものを教える同じ立場として、大いに参考になったものである。

人が話をしているときに、ただ「フム、フム」と聴いているよりも、時々合いの手を入れるように質問を投げかけた方が、話し手は気持ち良くノッテくれる。

生徒の方も心得ていて、「質問はありませんか」という呼びかけに絶妙なタイミングで、その授業のキーポイントに関わる箇所を質問してくる者がいる。
生徒に上手く乗せられて授業もスムースに運ぶ。
教師にとって、こんな有り難い存在はない。

ただ、授業の説明中であっても自分の都合だけで、今質問をしないと取り返しがつかないかのように「先生―」と何度も手を上げる生徒もいる。
その度に対応していたら、授業は成り立たなくなる。

「質問は後でまとめて受けます」と前もって言っておくことも大切である。

2009/11/18彦井 脩

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