VOL.139 「イジメ」

2012/07/18

このところ連日イジメに関わる問題がマスコミを賑わしている。
教育委員会や学校の隠蔽体質と教員の力不足が取り上げられ糾弾されている。

私は長く私立校に勤めていたので、深刻なイジメ事件に遭遇することもなく教壇を降りることができた。現役時代よく入試説明会で受験生の親から「こちらの学校は私立校ですからイジメはありませんよね」と訊かれた。私は「ありますよ。ただ、対応が速く後々シコリが相互に残らないように配慮します」といつも答えていた。

不況と少子化の影響は大きく、一部の入試難関校を除いては、私立各校競って知恵の限りを尽くして熾烈な生徒募集作戦を展開している。こうした深刻な情況のなかで万一「イジメの多い学校」といったウワサなど立ったら正に致命的なダメージを受けるのは必至だ。個々の生徒をよく観察し「イジメは芽のうちに即刻摘め」は正に私学教員の鉄則である。結果的に私立校ではイジメによる事件が少なくなっている。

各校独自の教育方針にそって選抜した生徒を擁する私立校と公立校を同じ土俵に乗せるのは酷かもしれないが切実感や意欲の違いを感じざるをえない。

周期的にイジメによる事件が起き、その都度マスコミでクローズアップされ、教育評論家といった人たちが意見を述べるが、抜本的な問題解決策がないまま忘れさられ、多分また同じようなことが何年後かに繰り返されることと思われる。

イジメの域を超える犯罪行為を見過ごすような場所に子どもを無理やり行かせる義務などない。それぞれの子どもの気質に合った学校を選ぶ自由があってもいいし、学習は通信で社会性はスポーツクラブや文化クラブで身に付ける自由があってもいい。

教師の仕事は手をかければきりがないし、手抜きはいくらでもできる。最終的には教師個々人の良心や意識の問題に帰一する。
経験則で言えば、教師は生徒の傍に寄り添ってナンボの仕事だ。
ところが生徒に近づくことを怖れ、専ら教員室にこもり「学級だより」などを熱心に書くような教師もいる。毎日放課後生徒と一緒に掃除するだけでもいい。いつも教師が生徒の傍にいたら今度のような悲惨な事件は未然に防げたかもしれない。

2012/7/18 彦井 脩

ご意見・ご感想は彦井 hikoi@careervista.jp まで。