VOL.135 「書く」

2012/06/20

かんたんな文章も書けない生徒が多くなっている。

書くことに慣れるように、毎日10分程で、「学校」「カレーライス」など身近なものを題名に20字とか30字以内で書かせていたことがある。

「子どもを集めて先生が勉強を教える所。」とか「肉や野菜をカレー粉で味を付けてごはんにかけた食べ物。」といった感じで書くのである。ところが生徒の書く内容はさまざまで、「宿題を出したりテストをして子どもを苦しめる所」や「晩ごはんによく食べるボクの大好きな料理。」などと、皮肉や曖昧なものでも文章がまとまっていればよしとしていた。

書くことを苦手とする生徒は、まずペンを持って、「学校とは・・・」「カレーライスとは・・・」と書いた後フリーズしてしまう。

書くことの好きな生徒は、しばらくは腕組みなどして考え込むがペンを手にするとあっという間に書き上げる。

腕組みしているのは対象を言語化している時間であろう。認識することは言葉に置き換えていく作業と言える。書けない生徒の原因もそこにある。

先日、三浦しをん著「舟を編む」を読んだ。「大渡海」という辞書を編集出版する人々の物語である。「記憶も愛も心も言葉によって形象化される」といった言葉の力が語られていた。

生徒に、2,30字程度の短いものでも書かせていると、だんだんと要領を飲み込んできて文章もまとまってくる。当然のことながら日本人は日本語で考えを進めていく。書けない生徒には読書習慣を付けるなど日本人としての語彙を豊かにすることが大切である。文章は対象を精確に言葉で把握する力がカギになるからである。

2012/6/20 彦井 脩

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