VOL.110 「イメージとツール」

2011/12/07

人は様々な事がらのイメージを相互に共有していると思って生きている。手に入るありったけの情報を組み合わせて頭の中にイメージを構築し他者とも大差ないと勝手に思い込んでいる。

昔の日本人が想像で描いた象の絵は面白い。大体鼻は短く耳が小さい。少ない情報でイメージするとこんなことになる。

歴史上の人物でも坂本龍馬や勝海舟など写真が残っている人は別として、もっと昔の人物になると想像するしかない。

NHKの大河ドラマだけでも秀吉や信長は多くの俳優が演じているが、観る人々のイメージに合わないと手厳しい批判にさらされる。秀吉や信長を実際に見た人などいるわけもないのに視聴者は無責任なもので自分の頭の中で描いているイメージに合わないとミスキャストなどと不満をもらす。

私は小学生の頃に先生の話から刷り込まれた様々のイメージを長い間払拭できなかった。

最近、急速にインタラクティブボード(電子黒板)が普及している。こうした教育のビジュアル化は正確な情報を生徒に伝えるには極めて有効なツールであることは間違いない。

見ただけなので使い勝手は分からないが早晩全国的に普及するだろう。ただ実際に使っている教員に訊くとかなり準備に時間を要するようである。

どんなものでも新たに導入されるときには、さまざまな障壁を乗り越えざるをえない。学校にコンピュータが入ってきたときは年配の教員、私もその例にもれずほとんどが音をあげた。

今は成績処理から指導要録の管理、教材の作成にいたるまでPC抜きには考えられないし、対応できない教員は学校に勤めることもできない。

いずれインタラクティブボードも学校に不可欠の存在になると思われるが、各校に定着するまではそれぞれに紆余曲折があると思われる。

便利さを得る代償に想像力や思考力の減退を心配する向きもあるが、生徒が正しい情報を容易に得られるならそれに越したことはない。イメージの構築は情報量に負うところが大きいからだ。教育現場にいる者こそ率先して新たな技術に対応するようでなければならないと思う。

2011/12/7 彦井 脩

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