VOL.106「資質」

2011/10/26

志向が常に前向きで陽気な性格の人は、教師に限らず大抵の職場で歓迎される。特に営業職に就く人にとっては明るく前向きなことは不可欠の条件と言えるであろう。

教師も生徒と直接向き合って良い授業を提供するという意味では営業職と同様の人格が求められる。

だからといって営業マンが顧客に接するように生徒に媚びることはないが陰鬱で不愉快そうにしていては生徒の学習意欲を殺いでしまうだろう。

自分の資質を完璧にわきまえて、職業の選択をする人は一般企業にも少ないと思うが、概して教職をめざす人に、正にミスマッチとしか思えない方が多く見られる。最も見えないものは自分だということが身に沁みて痛感される。

仕事柄多くの教員志望の方と面談しているが、45年も教員をしていたので少しお話すると、その方が教壇に立っている情景が大体想像できる。

直感的にこの方は教師という仕事に向いていないなと思える方もたくさんいる。適性に問題があったら本人だけでなく生徒も辛いことになる。

理想の教師の条件を挙げたらきりがない。

「清潔で姿勢がよく動きがテキパキしていて板書が上手、聴き取りやすい滑舌のいい話し方をし、明るく笑顔がステキ、話が上手で授業が解かりやすく知識も豊富・・・」

そんな学園ドラマに登場するような先生などめったにお目にかかれない。自分の現役時代を思い返すと冷や汗が出る。

授業参観に行くと、なかには暗い雰囲気で廊下をトボトボ歩き、小さな覇気のない声で授業をしている先生もいる。姿勢よく歩くことも発声に張りを持たせることも努力次第で克服できるが、雰囲気の暗さは生来のもので変わりようもない。

教員は生来の資質に負うところが大きいが、それが全てとあっては身も蓋もない。

そんな方には校内では学園ドラマの人気教師の役を演じるつもりで過ごすように奨めている。名演技を続ければたとえ生来の性格であろうとも好転が期待できるからだ。

2011/10/26 彦井 脩

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