VOL.104「良い縁」

2011/10/12

「人生は誰かからもらうもんやない。自分で切り開くもんや。
人からもろたもんは、すぐなくなってしまう。自分で手にいれたもんは、簡単には失わん。その心構えをもっときや」

先日読んだ「神様の女房」という本のなかの一節で、松下幸之助の妻「むめの」が奉公先の女主人からかけられた言葉である。
彼女は終生この言葉を忘れなかったという。

「むめの」は、幸之助との出会いをはじめ、たくさんの良い縁に恵まれる。その縁に支えられて夫との二人三脚で小さな町工場からスタートするのである。

今、松下家の執事をしていた高橋誠之助の著作をNHKがドラマ化し、「経営の神様の女房」役を常盤貴子が演じている。

放映されている作品にどう描かれているか分からないが、本のなかでは「むめの」の真っ直ぐな生き方が、次々と良い縁を生んで会社は軌道に乗っていく。正に人生を良い縁を繋ぎながら切り開いていったのである。

教師は自らの生き方を通して、生徒たちに人生どう生きるべきかを悟らせる責務があるとするなら、私などは極めつけの反面教師かもしれないが、良い縁にはかなり巡り会えたと自負している。

授業を担当したり、担任になったりするのも生徒との一つの縁である。ただこれはほとんど偶然の産物であり、それが末永い縁に発展するのは、教師としての魅力、人柄、相性と本人の努力であろう。

人生は確かに自分で切り開いていくものであり、人から与えられるものではないが、偉大な先人たちには必ずと言っていいほど優れた人がその周辺にいて、大きな支えになっていたように思われる。

人は一生の間にそれほど多くの人と、親しく交わることはない。
日頃から前向きに真っ直ぐ生きることで沢山の良い縁は生まれるものだ。その縁を大切に大きく育て、自らの人生を切り開き築いていくように生徒たちには伝えたいものである。

2011/10/12 彦井 脩

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